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IOM初の年次アピール 移住に関連する危機への対応とその先の開発のために79億米ドルを要請

【ジュネーブ】国際移住機関(IOM)は1月22日、IOM史上初となる年次グローバル・アピールを2024年向けに発表し、移住がもたらす力を世界各地で発揮していくために必要な事業運営と制度構築のために、79億米ドルが必要だと訴えた。

このアピールは、先んじて発表された5カ年のIOM戦略計画の三本柱である、(1)移動する人びとの保護、(2)避難民の課題解決、(3)正規の移住ルートの促進のための資金を要請している。

ジュネーブでアピールを発表したエイミー・ポープIOM事務局長は、こう述べた。

「非正規移住や強制移住は、かつてないレベルに達しており、私たちが直面する課題はますます複雑化しています。適切に管理された移住が、世界の繁栄と進歩に大きく貢献することは、あらゆるエビデンスから明らかです。私たちは今、重要な局面にいます。このアピールは、移住の貢献を実現する一助として作成されました。私たちはよりよい対応ができますし、そうしなければなりません。 」

 

必要な金額が全て寄せられれば、IOMは、国内避難民や受入れコミュニティをはじめとする約1億4,000万もの人々に支援を提供できる。さらには、IOMの開発事業を拡大し、さらなる避難民の発生を防ぐこともできる。

IOMのアピールは、パートナーへ以下を要請している。

  • 34億米ドル:移動する人々の命を守り、保護するために
  • 27億米ドル:気候変動による危険や影響の軽減など、避難民の課題を解決するために

・ 16億米ドル:正規のルートを通じた移住を促進するために

  • 1.63億米ドル:IOMがより効果的、かつ効率的な活動が実施できるように組織変革を行うために

ポープIOM事務局長は付け加える。

「この役割を成し遂げるには、政府、民間セクター、そして、個人の寄付者やその他のパートナーによる一層の協力が必要です。この資金は、私たちの現状とあるべき姿の間の、大きくて、さらに広がりつつあるギャップを埋めるために使われます。このアピールを意義のあるものとするため、私たちは今回初めて、あらゆるパートナーに積極的な資金提供を働きかけています。」

 

正規の移住ルートや保護が限られていると、人々は暴力や搾取、危険にさらされやすい状況に陥る。IOMの行方不明移民プロジェクト(Missing Migrants Project)によれば、過去9年間に、少なくとも6万人が危険な旅路の道中で死亡または行方不明になっている。資金不足や継続的な支援ができない状況は、単なる金銭面の危機ではなく、非正規の移住、人身取引、密入国を通じて、移民により大きな危険をもたらす。

質が高く、一貫性のある、柔軟な資金調達への投資が進めば、IOMの避難民への支援は、合理化・最適化される。緊急事態への準備に資源配分すれば、IOMの危機対応へのコスト全体を効果的に削減できる。 

 

移住は、世界の発展と繁栄の礎である。2億8,100万人の国際移民は、世界のGDPの9.4%を生み出している。適切に管理された移住は、開発効果を高め、気候変動への適応にも貢献し、より安全で平和な、持続可能かつ、より豊かで公平な未来をつくる可能性を秘めている。IOMは、気候変動への適応強化、人権保護、労働市場におけるニーズへの対応、各国政府の移住管理支援などの活動を円滑にするために、政策や課題ごとのイニシアチブに重点を置く。

IOMのグローバル・アピールは、危機の最中においても危機を乗り越えた後も、人道的な対応を支援すると同時に、移住が秘める大きな可能性を、経済成長と人間開発のために引き出す積極的な活動について、長期的な取り組みを促進する。

 

■ 全文はこちら(英語)

https://www.iom.int/iom-global-appeal-2024