新たなIOM戦略計画を発表 移動する人びとの保護・避難民の課題解決・正規の移住ルートの促進の三本柱
【ジュネーブ/ンジャメナ】国際移住機関(IOM)は、安全で秩序ある正規の移住を実現するという公約を果たし、世界で最も弱い立場にある人々を支援するため、5カ年グローバル戦略計画を発表した。
この計画は、2024年から2028年までのIOMの活動指針として、加盟国やパートナー機関、他の国連機関などとの対話だけでなく、移民自身を含む関係者との広範な内部協議を経て策定された。
エイミー・ポープ事務局長は2024年1月10日、チャドの首都・ンジャメナで開催された発表イベントでこう述べた。
「移住が、世界各地のコミュニティに利益をもたらすことは、あらゆるエビデンスから明らかです。しかし、気候変動や紛争、格差拡大が、移住をとりまく状況をより複雑で困難なものにしています。本計画は、こうした課題を克服し、世界の発展・繁栄・進歩のために『人の移動』が比類なき推進力を発揮していけるように策定されました。」
戦略計画は、3つの大きな柱で構成されている。
(1)移動する人々の命を守り、保護する
幅広い分野かつ地球規模で展開される、IOMの人道支援活動における中心的役割
(2)避難民の課題への解決策をもたらす
IOMのデータと知見を結集し、避難民を引き起こす危機の拡大や高コスト化を積極的に防止
(3)正規のルートを通じた移住を促進する
移住をより安全で秩序あるものとし、密入国や人身取引、また移民の搾取、虐待を引き起こす要因を撲滅する
IOMの新グローバル戦略は、今日、移住を引き起こす最大の要因となっている、気候変動によるリスクと影響の軽減に重点を置いている。加えて、人の移動が持続可能な開発目標(SDGs)の達成に不可欠であることから、持続可能な開発のための2030アジェンダにも則っている。
IOMは本計画をチャドで発表したが、チャドは今まさに、IOMが対応しようとする移住にまつわる複雑な問題に直面している。隣国のスーダンを紛争で追われた700万人のうち、多くの人々がチャドに逃れてきた。避難民らは、気候変動の影響や根深い貧困の影響で、避難を繰り返したり困難な生活を強いられたりしている。これは甚大な人道危機であり、世界の注目をより一層必要としている。
この戦略計画は、IOMの70年以上に亘る経験に革新的な思考と技術を組み合わせ、移民・避難民とその家族、地域社会、そして社会の繁栄を支えていく。
ポープIOM事務局長は、こう語る。
「移住の課題に全く関わりのない、あるいは、何の投資もしていない地域は、もはやこの世界中のどこにもありません。この戦略計画は、IOMが現在と未来の課題に対応していくための道標で、私たちが最も得意とする、支援を必要とする人々に手を差し伸べ続けることを可能にするものです。」
戦略計画全文はこちら(英文)