戦闘開始から500日 スーダン危機の最中、洪水によりダムが決壊
【ポートスーダン発】スーダン北東部にある紅海州で発生した豪雨により、8月25日にアルバアトダムが決壊し、多数の人々が未だ行方不明になっている。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、被害を受けた被災者は5万人と推定される。
2023年4月から戦闘が続く同国では、今年6月以降に生じた集中豪雨がさらなる混乱を招いている。さらに今後短い期間に、1,100万人もの人々が未曽有の降雨に見舞われる恐れも警告されている。
国際移住機関(IOM)の避難民動向モニタリングシステム(DTM)によれば、紅海州のダム事故は少なくとも30人の命を奪い、それ以前の洪水により、すでに13万6,000人以上がスーダン国内14州に避難している状況で発生した。また、今回の洪水により避難した人々の47%は、すでに目下の武力衝突から逃れていた避難民であったと推定される。この500日間に及ぶ残忍な紛争を経た上に生じた災害により、さらに避難民が発生し、同国の壊滅的な人道危機を一層深刻なものにしている。
IOMは、スーダンにおける緊急人道支援に数千人を動員し、シェルターや生活必需品(非食糧品:NFI)、衛生キット、医療サービス、現金をベースとした各種支援などを実施している。
モハメド・レファートIOMスーダン事務所代表は、次のように述べた。
「この災害の規模は驚くべきもので、大規模な人道支援が求められています。私たちは日々現場に赴き、命を救う支援を届けるため絶え間なく活動していますが、資源は限られています。この国で起きている複数の緊急事態に対応するためには、国際的な支援者やパートナーからのより大きな支援が必要です。危機に次ぐ危機に直面する中、スーダンの人々にはこれ以上助けを待つ余裕はありません。」
この洪水により25,000以上の避難所や地域社会のインフラが破壊され、受入コミュニティの家々や学校に身を寄せる避難民もいる他、猛暑と雨風にさらされながら野宿する被災者も多いとIOMは推定している。
洪水による新たな支援ニーズへの対応として、IOMは今年8月だけで、衛生キット12,000セット、生活必需品(非食糧品:NFI)27,900個、テント500張をはじめ、214,000人以上に支援を届けた。加えて、命を救う人道的介入を迅速に実現するため、500世帯への現金をベースとした支援や、緊急対応基金(RRF)を通じた現地の支援団体への助成も行っている。
スーダンの武力衝突は、これまで通信網や水供給、道路などの社会インフラに大きな被害を与えただけでなく、人道支援を届ける際にさらなる困難をもたらしてきた。
避難民が急増を続けているスーダンでは、1,070万人以上が国内で安全を求め、その多くが複数回避難している。今後3カ月の間に、戦闘が拡大し、また対応策が尽きれば、2,560万人が深刻な食糧不安に直面すると見込まれる。この甚大なニーズに対応するため、IOMは国際社会に対し、大幅な支援の拡大を呼びかける。