環境や気候変動は、人の移動(移住)に影響をもたらします。避難民への対応や、国境管理、労働移住、避難民の帰国や社会統合などに対処する上で、環境要因の考慮は不可欠です。IOMは、災害リスクの軽減、環境の変化に起因した望まぬ移住を可能な範囲で避けるための支援や、実際に気候変動の影響を受けた人々への支援を実施しています。同時に、環境・気候変動と人の移動に関連する、調査・研究、提言、啓発、キャパシティビルディングも行っています。
- IOMにおける環境や気候変動の課題の位置付け
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IOMは2007年より、加盟国から、「環境・気候変動と人の移動」の諸課題に取り組むことを要請されてきました。2015年初めには、「環境・気候変動と人の移動」の関わりについて専門の部署が国際機関として初めてIOM内に設置され、以来、この分野の活動の組織における重要性は拡大を続けています。「IOM戦略計画 2024-2028」においても、気候変動によるリスクと影響の軽減に重点が置かれています。
- IOMのビジョン
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IOMは、環境要因や気候変動と結びついた人の移動に関する課題について、国・地域・国際の様々なレベルでの取り組みをさらに拡大させる必要があると認識しています。現代の移住ガバナンスや移住政策・実務は、気候変動や災害が人の移動にもたらす影響を反映すべきというのが、IOMのビジョンです。環境要因は、移住管理の全ての分野、例えば、避難民発生の防止・備え・対応や、国境管理、労働移住と社会統合、帰国と再統合などにおいて、考慮されなければなりません。
- IOMの目的
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「環境・気候変動と人の移動」に関するIOMの活動目的は、以下の通りです
- 環境を要因とする非自発的移住を可能な限り防ぐこと
- 環境や気候変動により非自発的移住が起こる場合、影響を受けた人々に支援と保護を提供し、状況を改善するための恒久的な解決策を模索すること
- 気候変動に適応するための移住を円滑にし、影響を受けた人々のレジリエンス(強靭性、対応力)を向上させること
- IOMの活動
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IOMは、政策活動や権利擁護、調査・研究、提言、啓発、キャパシティビルディングといった、「環境・気候変動と人の移動」に関する様々な分野で、加盟国とオブザーバー、国連機関、NGO、学術機関や民間企業などと連携しながら活動しています。
持続可能な開発はこの分野の活動に不可欠な要素です。IOMは、災害リスクの低減や気候変動・災害の影響を受けた人々への直接的な支援、環境の変化に起因した望まぬ移住を可能な範囲で避けるための支援などを、環境持続可能性を考慮して実施しています。IOMは活動を通じ、移住が「最終手段」ではなく変化へのポジティブな選択肢となりうることを示唆してきました。