シエラレオネ 若者の就業支援に向け、日本資本のシエラトロピカル社とのパートナーシップに合意
IOMはシエラレオネにおいて、日本政府の支援による若者への就業支援と非正規移住対策事業を実施中だが、この事業に関連し、IOMは第7回アフリカ開発会議(TICAD7)期間中の2019年8月27日、伊藤忠商事株式会社傘下であるドール社のシエラレオネにおける現地法人、シエラトロピカル社と、パートナーシップのための合意文書を東京の伊藤忠商事本社で締結した。
シエラレオネは若者の失業率が非常に高く、7割を超える若者が失業状態であるとされている。そのため、多くの若者が新たな機会を求めて非正規の移住を選択しており、その数は毎年7,000人から10,000人とされる。こうしたシエラレオネ出身移民はサハラ砂漠を越え、リビアなどから欧州を目指すが、多くの場合実現せず国外で厳しい生活を余儀なくされている。こうした背景から、IOMは日本政府の支援を受け、「若者に対する雇用促進及び起業支援を通じた非正規移民に関するリスク削減計画」事業を、3年間の予定で2019年4月から実施している。この事業を通じてIOMは、シエラレオネの若者に対して職業訓練及び起業支援、そして非正規移住のリスクなどに関する啓発活動を実施し、同国の若者が非正規移民として国外に出るのではなく、母国で働けるための環境整備を行う。
就職率を上げるには、職業訓練生の雇用の受け皿が必要となる。IOMはシエラレオネ国内の労働市場に即した職業訓練を実施し、多くの卒業生の雇用に繋がるような仕組みの構築を目指している。そのためにはシエラレオネにおける雇用のニーズをよく知る多くの民間企業との連携が不可欠であり、その一つとして、シエラトロピカル社とパートナーシップのための合意文書を締結することとなった。この連携を通じ、研修モジュールの開発や研修実施への協力を同社からも受けることで、よりシエラレオネでのニーズに沿った職業訓練の実施が可能となる。
TICAD7でIOM代表団長を務めていた、ハッサン・アブデル・モネイム・ムスタファ中東・北アフリカ地域上級顧問が署名式に同席し、「若者の雇用創出はシエラレオネを含むアフリカ諸国において重要な課題で、このパートナーシップは課題解決のために大事な役割を果たします。このパートナーシップは今回のTICAD7の趣旨にも合致するもので、こうした連携が他の諸国にも広がってほしい。」と述べた。
東京 伊藤忠株式会社本社における、パートナーシップの合意文書の署名式 ©IOM 2019