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「人の移動は、発展の礎」 2023年 SDGサミットに寄せるIOM事務局長メッセージ

2023年9月18~19日の「SDGサミット」 に際し、アントニオ・ヴィトリーノ国際移住機関(IOM)事務局長がビデオメッセージを発表しました。日本語全文は下記の通りです。

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今年の「SDGサミット」は、真実と向き合い、また、ゴールまでの道のりについて改めて目算する正念場です。気候変動からデジタル化まで、主だったグローバルな変化は、何十億もの人々を取り残していくリスクをはらんでいます。「人の移動」はその解決策の一助となり得るため、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための計画に組み込まれなければなりません。

これは容易なことではありません。今日、私たちが目撃している世界の変化に伴い、人の移動のパターンはますます複雑化しています。しかし、国境を超える移民、国内で移住する人、そして避難民を合わせると、世界の8人に1人を占めます。人の移動は、適切に管理していくことで、発展や繁栄、そして、進歩の礎ともなり得るのです。

移民は、変化するとともに規制の厳格化が続く労働市場の需要とニーズに対応し、地域内並びに地域間で起きるあらゆる人口の不均衡を分散させます。そして、移民は、起業家精神を発揮し、時には環境に配慮した持続可能な社会への移行(グリーントランジション)を加速させ、気候変動や紛争による影響への適応を後押しします。北マケドニアのグリーン・ファイナンス・ファシリティ(GFF)の取り組みが一例です。さらに、移動する人々は、正規の移住や、出身国への送金、ディアスポラの資本などを通じて、グローバルバリューチェーンを活気づけ、開発途上国の発展にも経済的に貢献できます。

こうした移民による貢献を十分に実現するには、大胆なコミットメントと斬新な行動が必要です。具体的には、送金手数料を削減させながら、安全で正規の移住の機会をつくり、移民の声を国や地方の開発計画に反映させながら、社会保障とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)をすべての人に拡大しなければなりません。また、デジタルアクセスを改善させつつ、移動する人々のスキル開発や移民の持つ資格認証にも投資をし、紛争や天災により避難しなければならない状況を減らすと同時に、気候変動や暴力行為の影響にも適応できる、強靭で平和な社会を築いていかなければなりません。

そのための青写真は、既に存在します。「安全で秩序ある正規の移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」と「国内避難に関する国連事務総長の行動宣言」は、人の移動を包摂的なガバナンスに取り入れながら、誰一人取り残さずに、実現する手段を示しています。

IOMは、貧困の根絶を加速させる新たな行動を立案、実施、スケールアップし、地球を守り、人々が平和と繁栄を享受するために、加盟国、移動する人々、そして、全てのステークホルダーを、引き続き支援していきます。

全ての人々の利益のために、移民とともに、今こそ行動しましょう。