次期IOM事務局長にエイミー・ポープを選出
【ジュネーブ】2023年5月15日、第6回IOM特別総会において、移住に関する国連機関である国際移住機関(IOM)の加盟国は、エイミー・ポープ氏を次期事務局長に選出した。
IOMは1951年に設立され、移住の課題を専門に扱う政府間機関として、「正規のルートを通して、人としての権利と尊厳を保障する形で行われる人の移動は、移民と社会の双方に利益をもたらす」という基本理念に基づいて活動している。IOMは国連の関連機関。
ポープ次期事務局長は2021年9月、IOMマネジメント・改革担当副事務局長としてIOMでの務めを開始し、アメリカ政府によって事務局長候補に推薦された。現職のアントニオ・ヴィトリーノ事務局長も候補として選挙に出馬した。
女性初のIOMトップとして、ポープ氏は2023年10月1日から事務局長職に就く。
ポープ氏はこれまで副事務局長として、一連の予算・管理部門改革を実施し、IOMの支援現場での活動とリスク管理の最適化、内部法務や活動の成果を高めること、国連システムとの連携強化に努めてきた。
エイミー・ポープ 経歴
ポープ氏はIOMでの現職以前に、2021年にバイデン政権で移住に関するシニアアドバイザーを務めたほか、2015年から2017年には大統領副補佐官と国土安全保障次席顧問を務め、2013年から2015年には大統領特別補佐官および国境安全保障担当上級部長として勤務した。
ホワイトハウスでは、移住の増加に対応する包括的な戦略を策定・実施したほか、人身取引対策やジカ熱・エボラ出血熱への対応、コミュニティ向けの気候変動対策などに取り組んだ。ポープ氏は以来、学術的著作や英国王立国際問題研究所での業務を通して、グローバルな移住の課題についての対話の推進を続けている。ポープ氏はアメリカ司法省、および合衆国議会上院でも勤務経験があり、ロンドンに拠点を置く法律事務所シリングスでパートナーを務めたこともある。
ポープ氏は、政府や民間セクターの組織を、より戦略化、革新化しつつ、リスク管理を改善して改革を導いてきた。変革を達成するための、人材の育成や権限を持った多様性のあるチームの構築にも定評がある。これに加えポープ氏は、パートナーシップ構築や連携の強化についても、卓越した経験がある。多国間組織や政府、コミュニティの利害関係者と協働し、移住や難民の再定住、暴力的な過激主義に対応する政策にも取り組んできた。
ポープ氏はデューク大学ロースクールを優等で卒業し、法務博士の学位を取得した。また、ペンシルベニア州のハバフォード・カレッジで、政治学学士の学位を取得した。