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IDMC報告 2023年に国内避難民が7,590万人を記録

2023年10月にソマリアで発生した洪水で全壊した家屋 Photo: IOM 2023/Claudia Rosel

 

【ジュネーブ】2024年5月に新たに発表された国内避難モニタリング・センター(IDMC)の報告書によると、2023年末時点で、世界では7,590万人が居住国内で避難生活を余儀なくされている。このうち、昨年1年間に新たに避難や移動をした人は、4,700万人近く記録されている。国内避難民(IDPs)を保護し、さらなる避難民の発生の防止が緊急に求められている状況が浮き彫りとなった。

ウゴチ・ダニエルズ国際移住機関(IOM)副事務局長は、こう述べる。

「世界が紛争や災害に直面する中、新たに4,700万人もの驚異的な数の国内避難民が発生したのは、実に嘆かわしいことです。この報告書を読むと、さらなる災害リスクの軽減と平和構築への支援、そして人権の保護を確実に行い、可能な限り避難民の発生を未然に防ぐために、緊急かつ協調的な行動が必要だと痛感します。」

 

IDMCの「世界の国内避難に関する報告書(2024年版):GRID」(本文英語)によると、2023年に生じた国内避難民のうち、2,050万人は紛争や暴力に起因する。内訳は、スーダン紛争による避難民が600万人とほぼ3割を占めた他、2023年10月より紛争が生じたガザ地区では、2023年末までの3カ月間だけで、同17%にあたる340万人にまで避難民が膨れ上がった。

災害も例年、何百万人もの人々に避難を強いている。2023年は、アフリカ南東部を襲ったサイクロン「フレディ」、トルコ・シリア大地震、ミャンマーなどを襲ったサイクロン「モカ」などの影響で、2,640万人が新たに避難をし、2023年に生じた国内避難全体の56%を占めた。災害による避難民が高所得国で増加していることも特筆すべきで、例として、カナダでは2023年に生じた一連の未曽有の山火事により18万5,000人が国内避難を余儀なくされた。

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2023年の災害による避難は2,640万人で、同年は気象の影響による危険が少なかったにも関わらず、過去10年間で3番目に多い © IDMC, GRID 2024

 


紛争による避難は、ウクライナでの避難が甚大であった2022年と比べると28%減少したが、2021年以前の平均と比べるといまだ70%ほど高水準にある © IDMC, GRID 2024

 

今後数年間は、気候変動の影響で自然災害の頻度、期間、強度が悪化するため、災害による避難民の数は増加すると予想され、実際にここ数週間だけでも、ブラジルやケニアで大規模な洪水が発生している。

このような困難が続くにも関わらず、依然として正しい知識は知れ渡っていない。国際社会は、紛争や災害の影響による国内避難民の状況についてよく理解した上で、予防そして管理し、対処していくためのよりよいデータを必要としている。

同報告書は、人道支援や開発に携わるパートナー、各国政府、そしてさまざまな関係者が、今日の国内避難民を救い、そして将来的な避難の発生に備えるための貴重なツールである。 

 

*IOMは、IDMC GRIDのパートナーとして、避難民動向モニタリングシステム(DTM)を通じて信頼できる正確なデータを提供している。