パプアニューギニア 避難民コミュニティへの対応を強化
武力衝突と選挙に関連した暴力に伴い、パプアニューギニアのヘラ州、南部山岳州、そしてエンガ州で1万5,000人以上が国内避難民となっていることが、国際移住機関 (IOM) の避難民動向モニタリングシステム (DTM) によって明らかになった。
IOMは地方政府との連携のもと、国内の避難状況を確認すると同時に、最も暴力の影響を受けている山岳地方の人々の保護などのニーズを把握するために、2022年8月後半、DTMチームを派遣した。アクセスの難しい地域における調査が進むにつれ、国内避難民の総数は増えるとみられている。いくつかの地区へのアクセスは、治安の問題から制限されたままである。
最も差し迫ったニーズとして、食糧や水・衛生、シェルター、保健、保護が挙げられる。IOMは影響を受けたコミュニティを支援するための緊急支援をさらに拡大している。
暴力は総選挙が実施された7月よりも前の5月から始まっており、8月まで継続している。特に選挙期間中の数日間に発生した衝突は最も激しかった。多くの地域では総選挙と暴力が直接的に関係している一方で、いくつかの地域では、土地をめぐる争いや報復、民族間の争いなど長年にわたる確執が、不安定な情勢下で再燃した。
影響を受けた地域からは、傷害や死亡事件、菜園への被害、器物損壊、避難、教育サービスの混乱などが報告されている。
エンガ州のポルゲラ、ライアガム、コムピアム地区、ヘラ州のマーガリマ地区、南部山岳州のニパ地区では、4万9,175世帯26万4,590人いる人口のおよそ半分が現在も続く武力衝突や選挙関連の暴力の影響を受けている。
エンガ州では、推定2万5,700人の学齢期の子どもたちが学校に通うことができない状態にあり、困難な状況に置かれている。暴力の直接的な影響はトラウマの増加となって現れており、特に性的暴力を含む暴力の被害者に顕著にみられる。
攻撃を受けたことによる保健センターの閉鎖やスタッフ不足により、およそ55万8,000人の人々がヘルスケアへのアクセスを失う。HIVや結核など長期間にわたる治療が必要な人々や、非伝染性の疾病を抱える人々は、本来必要な無期限の投薬治療を受けられなくなる。
IOMは国立疾病センターと連携し、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)人道支援局(BHA)、オーストラリア政府の支援を受け、女性や障がいのある人々、高齢者を含む最も困難な状況にある人々に緊急支援を行う。
セルハン・アクトプラクIOMパプアニューギニア事務所代表は、「女性や子どもたち、高齢者や障がいのある人など、影響を受けた人々の苦痛が、各国からの資金でIOMが行う支援で和らぐことを願っています」と述べた。
直ちに配布される支援物資には、シェルターキット (ビニールシート、釘、ハンマー、ロープ)、折りたたみ式給水容器、浄水タブレット、蚊帳など緊急を要する物品が含まれている。
IOMはこれまで、南部山岳州のメンディ地区において、シェルターキットを236世帯1,413人に配布し、7世帯56人に給水容器を届けた。受益者の多くは女性と子どもである。
アメリカ合衆国国際開発庁人道支援局および国連平和構築基金からの支援を受け、根拠に基づいた対応を行い影響を受けたコミュニティの復興を図るために、DTMは支援関係者に重要なデータを提供している。