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繰り返す悲劇に終止符を ランペドゥーザ島沖難破事故から10年

エイミー・ポープ国際移住機関(IOM)事務局長とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官(UNHCR)による共同ステートメント

 

【ジュネーブ】10年前、500人以上もの男女や子どもで溢れ返る船がイタリアのランペドゥーザ島沖で沈没した時、世界は「二度と繰り返さない 」と誓った。

沈没事故から10年の節目を迎えた10月3日、私たちはその約束を未だ果たしていない。2023年第1四半期は、2017年以降で最悪の死者数を記録し、地中海中央部では、今年だけで、10月2日までに2,517人が死亡または行方不明となった。

海路であれ陸路であれ、世界中で毎週、悲劇や痛ましい事故が報告されている。恐ろしいことに、悲劇は常態化している。これらは防げるはずの惨事であり、有効な対策を講じる責務をこれ以上先延ばしにしてはならない。人命救助は選択するものではなく、法的義務であり、道徳的にも不可避だ。

私たちは、協調して捜索・救助活動を行っていくための連携強化への尽力を求める。具体的には、

・移民や難民が救命支援を受けられるようにする

・人道支援を提供する者に対する犯罪化や妨害、抑止をなくす

・全ての関係者のニーズを満たし、人権を擁護する効果的で合法な移住・移動手段を設ける

・人身取引と搾取に対策をとる

・移民や難民の行方不明を防止し解決するためのデータを収集し、一般に公開する

2018年、国連加盟国は「安全で秩序ある正規の移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」と「難民に関するグローバル・コンパクト(GCR)」を採択した。これらは、ランペドゥーザのような悲劇にも対応するために生まれ、相互補完的な実施が意図された歴史的な枠組みである。

GCMは、移住ガバナンスと移民の保護を強化すべく、国際協調の取組みを打ち立てようとしている。同時にGCRは、難民支援のための責任分担を強化し、解決策を促進するためにある。

自分とその家族にとってより安全で尊厳のある人生を求め、危うい旅に出る人々への支援は、国際社会としての私たちの責務である。ソマリア系イギリス人の詩人ワルサン・シャイアは、「海上の方が陸より安全でなければ、誰も我が子を船には乗せない。」と綴った。

私たち、国際移住機関(IOM)事務局長兼国連移住ネットワークのコーディネーターと、国連難民高等弁務官のリーダーシップと国連システムのサポートの下、新たな一歩へのコミットメントが生まれるだろう。

2022年5月に開催された「第一回国際移住レビュー・フォーラム」では、国連加盟国がこの問題に関する取組みの強化を求めたように、私たちは前進を遂げている。私たちは、こうした声を実際の解決策に変えていける立場にあり、また、そのために行動していかなければならない。来年、国連事務総長が、私たちのサポートを受け、国連加盟国による検討のためにこれらの問題に関する盤石かつ実行可能な提言を示す予定だ。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が今年12月に開催する「第2回グローバル難民フォーラム」は、具体的な宣言の発表を後押しし、難民との連帯強化を促しながら、最善の形でその負担と責任を分担していく方法を検討する。

私たちのアプローチは包括的なもので、世界各地のさまざまな移動ルートにおいて、移民や難民が直面するそもそもの要因や課題に関する深い理解に基づいている。そして、私たちのパートナーである各国政府や、人道支援団体、市民社会、そして最も直接的に影響を受ける人々 ― すなわち移民や難民とその家族の見解や専門性、経験も活用し、包摂的なものになる。

それを実行に移すかどうかは、各国政府次第である。

ランペドゥーザ島沖難破事故から10年を迎えるに当たり、このような悲劇が二度と起こらぬよう、私たちは一層の努力を重ねる必要がある。国際社会には、変化を起こす力がある。私たちは今、その意志と結束を示さなければならない。