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ANAホールディングス株式会社との人身取引対策における協力

IOMは12月10日、国内最大規模の航空グループ持株会社であるANAホールディングス株式会社(ANA HD)主催による、航空機を利用した人身取引防止を目的とした、航空業界のパートナーを招いたオンラインセミナーに参加した。 清谷典子IOM駐日事務所プログラム・マネージャーがセミナーにおいて、人身取引のグローバルな傾向とIOMの対応について、基調講演を行った。セミナーには航空業界、及び人身取引対策に携わる関係者約170名が参加し、活発な議論と情報交換が行われた。

ANA HDグループ法務・グループ総務・サステナビリティ推進 副担当 執行役員、サステナビリティ推進部長 宮田千夏子氏は、セミナーに際し、以下のように述べた。

「人身取引は、よその国の出来事のように思われがちですが、航空機が被害者を運ぶ手段の一つとして利用される恐れがあることは、日本も例外ではありません。ANAグループが提供する航空サービスが人身取引のような犯罪に利用されることのないよう、今後も関係各所と連携した取り組みを強化してまいります。」

また、望月大平IOM駐日代表は次のように述べた。

「被害者に接する可能性のあるANA HDを始めとした航空業界が、こうしたセミナーを通じて経験を共有し、より良い人身取引の通報システムの構築などの取り組みを継続することは、人身取引の撲滅に向けた大きな力になっていくと思います。」

IOM駐日事務所とANA HDとの人身取引対策に関する協力は、数年に亘って継続している。

ANA HDは昨年、2度目となる「人権報告書2019」を発行した。航空業界は人身取引防止のために重要な役割を担っているとの認識のもと、ANA HDは2018年に人権報告書を作成した初めての日本企業となった。IOM駐日事務所の清谷プログラム・マネージャーは、ANA HDとの連携の重要性に言及しながら、2019年の報告書にANA HDの取り組みに期待するコメントを寄せた。

ANA HDはまた、人権保護についての啓発と、人権保護への責任を認識するために、人身取引対策のビデオ・ライブラリー「IOM X」内の映像を全社員向け研修の教材として活用している。この活動を通じ、ANA HDは映像の日本語字幕版を制作し、IOMの人身取引対策に貢献している。この映像は、同ライブラリーで最初の日本語版映像となった。この映像は12月10日のセミナーでも上映された。IOM駐日事務所はこの映像を通じ、日本の人々に、人身取引や、それに対処するIOMとANA HDとの協力について知ってもらうことを願っている。

ANA HDの協力による日本語版の人身取引についてのビデオはこちら