ロヒンギャ危機から5年、IOMがさらなる支援と解決策の訴え
ミャンマー国軍による掃討作戦を受け、ロヒンギャ人が隣国バングラデシュに大量脱出してから、8月25日で5年が経つ。バングラデシュ南東部コックスバザールに設置された難民キャンプは世界最大となった。国際移住機関(IOM)は国際社会に対し、ロヒンギャ難民と受け入れコミュニティへの長期的な開発支援および持続的な人道支援を訴えた。
およそ100万人の難民が過密状態にある難民キャンプに留まっており、半数以上を子どもが占める。バングラデシュ政府は過去5年間にわたりロヒンギャ難民を受け入れてきたが、一国だけで背負うにはあまりにも負担が大きい。
避難生活が続く状況にあっても、ロヒンギャ難民が尊厳ある人生を送れるよう、バングラデシュ政府が主導してきた取り組みを、全人道支援関係者は継続して支援していかなければならない。
ロヒンギャ難民自身も人道支援の中心的役割を担っている。火事や竜巻などの災害対応でのボランティア活動や、新型コロナウイルス対策の啓発活動など、キャンプ内のコミュニティで支えあってきた。危機が長期化しているなか、教育や技能研修、生計手段へのアクセスを充実させることが必要だ。
生計を立てる手段が制限されているなかで、ロヒンギャ難民は完全に人道支援に頼って生活をしている状態だ。障がいのある人、母子家庭、生計手段を持たない人など、特別な支援を必要とする人々やグループへの支援を十分に提供することができておらず、結果として、そうした人たちは人身取引などの危険性に対して脆弱な立場に置かれている。
人身取引を行う犯罪ネットワークは、偽の事実、強要、拉致等の手法を使い、難民をキャンプ外や海外で働くように誘導する。IOMはコックスバザールにおける人身取引対策のリード機関として、これまで1,300人以上の被害者を認定し、支援してきた。
現在、モンスーンがバングラデシュ北東部で記録的な洪水被害をもたらしている。今後、キャンプ周辺で豪雨が発生した場合には、竹と防水シートで作られた仮設住宅に大きな被害を及ぼす可能性がある。2021年にキャンプ内で発生したモンスーンによる洪水では、3万人が被害を受け、うち1万9000人が住む場所を失った。
バングラデシュ政府をはじめ、IOMやその他の支援機関は、人道支援や基本的な社会サービスを提供している。IOMは今後も仮設シェルター、避難民の保護、精神保健、社会心理的サービス、水や衛生用品の提供を継続する。同時に、IOMは防災の取り組みを実施し、バングラデシュにおける気候変動の影響緩和に努める。