【次世代を守る】子どもの人身取引 撲滅へ向けて
毎年、世界中で何百万人もの子どもたちが人身取引の犠牲になっている。
私たち国連移住ネットワークは、今年の「人身取引反対世界デー」に際し、各国政府に子どもの人身取引を防止し、撲滅するための努力を一層強化し、この犯罪の犠牲となった子どもたちに包括的な保護と支援の手を差し伸べるよう呼びかける。
今日、様々な世界的な危機により、かつてない数の子どもたちが、移民・庇護希望者・難民・国内避難民などとして移動を強いられている。彼らは、単身で移動している場合に特に弱い立場に置かれ、人権侵害や暴力、搾取のリスクにさらされ、健康にも甚大な影響がある。
人身取引被害者のうち、過去15年間で特定された子どもの割合は3倍に達し、中でも男児の被害は5倍に増加している。特に、サハラ以南のアフリカ、北アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国では、人身取引被害者のうち子どもの割合が60%から73%を占める。世界全体で見ると、確認されている人身取引被害者のうち子どもは35%で、うち女児が18%、男児が17%である。
被害に遭った子どもたちは、同様の大人に比べ、暴力を受けるリスクがはるかに高く、強制労働や犯罪行為、物乞い、搾取的な養子縁組や強制結婚、性的虐待の形で搾取される。
各国政府は、安全で秩序ある正規の移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)の目標10「人身取引の撲滅」の下、国際的な人の移動において人身取引を防止し、それと闘い、また根絶するためのキャパシティ開発と国際協力の強化を約束した。また、特に女性と子どもに焦点を当て、人身取引の犠牲となった移民を特定し、保護する取り組みの強化も約束された。
この目標を達成するため、私たち国連移住ネットワークは各国政府に対し、家族の再統合を含め、安全かつ正規の移住ルートを強化するための措置を講じるよう求める。具体的には、
- 児童保護制度に移動の途上にある子どもを含めること。
- 人身取引に巻き込まれた子どもを犯罪者ではなく、むしろ被害者として扱い、専門的な支援や安全なシェルターを提供し、独立した有資格の後見人をすぐに選任し、すべての決定がその子どもの最善の利益のためになされるようにすること。
- 被害に遭った子どもたちの健康上のニーズを優先し、保護すること。
- 適切な場合には、国際人権法に則り、人身取引被害に遭った子どもたちの権利に基づき、安全で尊厳のある帰国と、持続可能な社会復帰を確保すること。
さらに、大人のためのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へのアクセスや、すべての人の社会的保護と教育の向上、そして人々が安全ではない方法で移住せざるを得なくなる要因を減らすための行動も求められている。
子どもの人身取引に対するアカウンタビリティ(説明責任)を強化し、加害者が罪を逃れることを終結させるための緊急措置も必要である。これには、加害者への刑事司法措置を強化し、人身取引の危険にさらされる子どもや被害者が、差別なく司法を受けられるようにすることも含まれる。
各国政府はまた、子どもの人身取引を防止し、撲滅するために、反人身取引機関間調整グループ(ICAT)が勧告する追加的な行動を実施するよう求められている。
上記のことから、移住の途中にある子どもたちが家族から引き離されないよう、また、そのステータスを問わず、子どもの最善の利益が常に優先されるよう、あらゆる対策が講じられるべきである。
国連移住ネットワークを代表し、ガーダ・ワーリー国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長は、次のように述べる。
「あまりにも多くの子どもたちが、移住ルートにおいて人身取引の犠牲になっています。私たちは、子どもたちを搾取から守り、人権を尊重しながら、彼らが必要とするケアや保護、安全を保障するための世界的な取り組みを強化しなければなりません。」
国連移住ネットワークには、あらゆる形態のこの恐ろしい人身取引を防止し、対策を採り、撲滅させるために、すべての政府に技術支援と助言を提供する備えがある。
人身取引から子どもたちを守るのは私たちの義務であり、世界中の政府、国際機関、利害関係者、地域社会が一体となって取り組むことが肝要である。それはまた、私たちが共有する未来と安全への投資であり、人類共通の人としての心が求めるものである。