IOMマダガスカル事務所のUNV、村木星詩留さん ヴァトヴァヴィ州マナンジャリーの受益者を訪問 Photo: UNV 2023

 

マダガスカル南東部を2022年と2023年に直撃したサイクロンにより、多くの人々が避難を余儀なくされ、困難な状況になりました。村木星詩留さんは、IOMマダガスカル事務所で国連ボランティア(UNV)として、サイクロンの被害対応のプロジェクトサポートアシスタントを務めています。


私は日本人の両親のもと、外国で育ったこともあり、多様な文化に非常に興味があって、国連で働きたいという希望を持っていました。現在はフランスの大学院に在学中で、ギャップイヤーを活用し、IOMマダガスカル事務所で UNVとして活動する機会を得ました。

私は「プロジェクトサポートアシスタント」として、サイクロンによる大きな被害で避難を余儀なくされた人々への支援を行った他、地方政府や中央政府、他の人道支援機関とも調整し、被災者の生活向上や、将来起こり得る自然災害に対するレジリエンスを強化する活動を連携して行いました。

プロジェクトを進めるうちに、深刻な懸念が浮かび上がってきました。被害を受けた農業資源が回復するには長い年月がかかるため、男性は収入を求めて他の地域への移住を強いられます。そうすると、残された女性や子どもたちが不安定な状況に置かれてしまいます。

こういった人々の困難な状況をよく認識し、プロジェクトの重要な要素として、地域で最も疎外されている女性たち向けに特に考案された、所得創出のための活動が組み込まれました。収入が安定すると女性たちの生計は向上し、その脆弱性も低減しました。

「このプロジェクトは、マダカスカル南東部の
3つの地域に暮らす5,000世帯に裨益しました」

ヴァトヴァヴィ地方マナンジャリー プロジェクト実施地の子どもたちと Photo: UNV 2023

サイクロンの被災者と関わってそのニーズを特定し、IOM事務所と第一線の現場の間に強い連携を作ることも私の業務の一つでした。また、マナンジャリーにあるIOM事務所を通じ、実施中の活動をより効果的に行えるよう、職員やボランティアを派遣する業務も担いました。

さらにプロジェクトが進むにつれ、域内での人の移動やコミュニティでの緊急的なニーズを把握するため、データ収集とその分析の重要性が明らかになってきました。IOMの「避難民動向モニタリングシステム(DTM)」のデータはこの過程で、意思決定における重要な役割を果たしました。

加えて、国内避難民キャンプの調整・運営や、被災者や人道支援パートナーのキャパシティビルディングを行って、将来起こり得る自然災害にも効果的に対応する備えも強化しました。

「この任務中に一番大変だったのは、
国内避難民の方たちの困難な暮らしぶりを
目にしたときの自分の感情への影響でした。

これは精神的にとても堪えるものでしたが、
家族や友人に考えや想いを共有することで心を平穏にし、
質の高い仕事をするための
メンタル面の強さを養うことができました。」

サイクロンによって大きな被害を受けたマダカスカル南東部に、村木さんの献身的な仕事ぶりとボランティア精神は、よい影響をもたらしました。革新的なやり方で、困難を抱えるコミュニティと国内避難民を力づけ、生計とレジリエンスを向上させ、明るい未来への希望を生み出しています。

 

出典:この記事は、下記の国連ボランティア計画(UNV)のウェブサイトに掲載された記事を日本語訳したものです。

Uplifting displaced and vulnerable communities in Madagascar | UNV