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バングラデシュのロヒンギャ難民対策に1億1900万ドルの資金提供を要請

100万人近いロヒンギャ難民がコックスバザールに一時避難している。その75%以上を女性と子どもが占める Photo: IOM Bangladesh

【ジュネーブ/コックスバザール】国際移住機関(IOM)は3月14日、バングラデシュのコックスバザールにある世界最大の難民居住地にいる約100万人のロヒンギャ難民と、それを寛大に受け入れている脆弱なコミュニティを支援するため、1億1,900万ドルの資金提供を訴えた。 

 

エイミー・ポープIOM事務局長は述べる。

「今日、世界は多くの危機に瀕していますが、ロヒンギャ難民に緊急に求められている支援と、バングラデシュにおける対応のために重ねられている努力を忘れてはなりません。私たちIOMは、ロヒンギャ難民が必要とする支援を確実に受けられるよう、国際社会の力を求めています。

実際に、100万人近い人々が、より良い未来への展望もなく、絶望的な貧困の中で暮らしています。もし私たちが手を引けば、彼らに他の選択肢はありません。この絶望的な状況に対し、私たちは手を取り合い、本当の支援と希望を与えなければなりません。」

 

このアピールは、ロヒンギャの人道危機に対する共同対応計画(Joint Response Plan - JRP)の一環として、117のパートナーと共に、135万人に支援を届けるため、全体で8億5,240万ドルの資金獲得を目指している。同計画は、バングラデシュ政府の全面的なリーダーシップの下、ロヒンギャ難民対応を共同で主導する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とIOMによって、3月13日にジュネーブで発表された。 

これまで数年に亘り重ねられた努力と成功を踏まえ、この要請は、ロヒンギャ難民にとって切実に必要な人道支援を継続的に提供することを目的としている。これには、シェルターや基本的な生活用品の配布、保健・医療、水と衛生分野の支援、そして彼らが直面する脅威からの保護が含まれる。 

 

2017年に多数のロヒンギャ人がバングラデシュへ流入して以来、100万人近いロヒンギャ難民がコックスバザールに一時的に避難している。今日まで、バングラデシュ政府と国際社会は人道支援を行ってきたが、難民たちが安全かつ尊厳ある方法でミャンマーへ自主的に帰還できるようになるまで、継続的な取り組みが不可欠である。  

難民のうち、75%以上を女性と子どもが占め、人口密度が高く不安定なキャンプ暮らしを続けている。ロヒンギャ危機が7年目を迎える今年、支援のための資金の減少が大きな課題となっている。  

IOMは2024年、受入コミュニティにおいて最も弱い立場にある人々への支援を行うと同時に、ロヒンギャ難民が自らのアイデンティティと文化を維持できるようにするための活動に注力する。

 

IOMがパートナーと管理する33のキャンプのうち、17のキャンプに避難する50万人の難民を支援するにあたり、私たちは革新的かつ気候変動にも耐えうる解決策を中心に据えている。具体的に、キャンプ内インフラの主材料は竹の加工品で、IOMが運営する最大規模の竹加工施設では、これまで100万本以上の竹材を扱ってきた。竹は手入れされることで、むしろ寿命が延びるため、このアプローチにより資材調達による森林への負担を最小限に抑えることができる。

また、月々98,000世帯以上の調理用代替燃料の供給を支援することで、IOMは食糧安全保障や難民キャンプが環境に与える影響の軽減にも貢献している。  

加えて、保健・医療もIOMの重点分野である。このアピールで集められた資金によりIOMは、難民とその受入れ地域社会を支えるコミュニティ・ヘルス・ワーカーの活動網と、毎月10万件以上の診察を行う38カ所の一次および二次医療センターへの支援を継続する。

保健と並んで、清潔な水と衛生の供給も優先事項である。IOMは、日毎30万人近くにトイレと清潔な水を提供している。人道危機の状況下では最大規模の、太陽光発電による水処理および配水施設の運営や、廃棄物管理やプラスチックのリサイクルも行っている。

最後に、IOMのイノベーションが詰まったロヒンギャ文化記憶センター(RCMC)は、難民コミュニティが持つ文化遺産を保護し、彼らの心理社会的なウェルビーイングと文化的なアイデンティティを強化することを目的としている。  IOMはさらに、ジェンダーに基づく暴力(GBV)や人身取引、児童虐待などのリスクから難民を守るためにも活動している。 

 

アブドゥサトール・エソエフIOMバングラデシュ事務所代表は述べた。

「IOMは、ロヒンギャ難民たちの命を救い、彼らが求めるニーズを最優先に尽力しています。私たちは、危機の影響を受ける受入コミュニティの中でも、最も弱い立場にある人々を支援することを約束します。そして、国際社会に対して、長引く危機の渦中にあるバングラデシュへの支援を求めます。」