人身取引の根絶に向けて私たちは何をすればよいのでしょうか?

2000 年に国連で採択された「人身取引議定書」は、人身取引に立ち向かうための有効な対策を取ることを締約国に義務付けています。これを受けて、加害者の処罰と被害者の保護を強化するための法制度の見直しや行動計画作りが始まりました。加害者を処罰するためには、警察などの法執行機関の役割が重要であることは言うまでもありません。日本でも刑法の改正によって「人身売買罪」が新たに設けられ、人身取引の取り締まりが強化されました。この法改正に加え、2004 年に策定された「人身取引対策行動計画」(2009年12月改定)の一環として、婦人相談所やNGOなどと連携した、被害者保護を含めたさまざまな取り組みが進められています。IOM も、日本国内で保護された被害者の自主的帰国・社会復帰支援を2005 年度から実施しています。

被害者の保護には、安全な避難場所の確保、カウンセリングや医療面のケア、法律相談、自主的帰国と出身国での社会復帰支援が途切れることなく、被害者一人一人の状態に合わせて実施されることが重要です。被害防止のための社会啓発を進めるにはマスメディア、教育機関、市民グループなどの協力と理解が欠かせません。さらに、人身取引の背景にある貧困や性差別の問題に取り組むには、潜在的な被害者の自立を支援することも必要で、開発援助のあり方が問われています。

被害者支援ネットワークへの連絡

私たちの身の回りで日々人身取引の被害は進行しています。私たちの住んでいる町にも、外国から連れて来られ身の自由を奪われている人たちがいるかも知れません。もしも、そんな女性が助けを求めてきたら人身取引の被害者を支援するネットワークがあることを教えてあげましょう。警察、入国管理局、NGO 人身取引女性相談センターでは電話による相談を受け付けています。

人身取引に関する連絡・情報提供先→(警察・出入国在留管理庁・NGO -「政府広報」オンラインへのリンク)

人身取引の根を断ち切ろう

私たちの取り組みは、最終的には社会の中にある人身取引を生み出す根を断ち切ることを目指しています。このためには、包括的な中・長期的アプローチが不可欠です。日本などの目的国においては、被害者の保護を促進すると共に、国内における性産業の需要が、人身取引の被害者を日本に呼び寄せる一因となっている現実を直視し、被害者が提供する「サービス」に対する国内需要を減らす努力も必要です。出身国においても、貧困削減や教育・雇用機会の増加、男女差別をなくすなどの根本的要因に取り組むことが大切です。特にアジアの先進国である日本に対する期待は、今後ますます高まるでしょう。NGO、政府、国際機関など、この問題に関心を持つ団体や個人がそれぞれの立場から行動を起こしていくことが重要なのです。

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