国際移住機関(IOM)は、2023年9月の国連総会の下で開催された「SDGサミット」を機に、達成が危ぶまれる持続可能な開発目標(SDGs)への打開策として、「人の移動」に関する大胆なコミットメントと革新的な行動を呼びかける報告書『2023アジェンダ達成(SDGs)に向けた人の移動の活用』を発表しました。
アントニオ・ヴィトリーノIOM事務局長は、ニューヨークで開催された国連総会において、SDGサミットの前夜にこう述べました。
「世界が複数の危機に直面する中、今年のSDGサミットは、真実と向き合い、また、ゴールまでの道のりについて改めて目算する正念場です。貧困を根絶し、地球を守り、すべての人々が平和と繁栄を享受できるようにするためには、様々な側面から「人の移動」が不可欠です。私たちは毎日、あらゆる場所で『移動する人々』が重要であるのを目撃しています。彼らは、発展、イノベーション、繁栄、そして、進歩の礎なのです。」
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGsがその中核)のちょうど中間地点において、誰も取り残さずにSDGsを達成するという約束は危機に瀕しており、私たちの努力はまだ足りません。「人の移動」は、そのための打開策の一助となり得えます。この報告書は、著名な研究機関とのパートナーシップにより作成され、移住が持続可能な開発を後押しする根拠を明確に示唆しています。
この報告書は、すべての政治家や実務家、チェンジメーカーに向けて、下記を呼び掛けています。
- 社会保障とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)をすべての人に拡大する
- 安全で正規の移住の機会をつくる
- 送金手数料を削減する
- 移民の声を国や地方の開発計画に反映させる
- 移民のスキル開発や、彼らが保有する資格や能力を認証するために投資する
- 移動する人々のデジタルアクセスの格差を是正する
- 損害や損失に対処し、紛争や気候変動による避難を減らすために投資する
SDGs達成に向けた進捗が期待を大きく裏切る苦しい状況にあって、国連加盟国や私たちは、その努力を倍増させ、人々が直面する複数の危機を克服するための解決策に着手しなければなりません。気候変動から紛争に至るまで、今日直面するどの課題も、「人の移動」を考慮せずには効果的に対処できないことを、この報告書は示しています。
あなたの行動が、今こそ求められています。
英語による報告書の紹介はこちらからご覧いただけます。