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IOM主催 TICAD8公式サイドイベント 「アフリカにおいて気候変動がおよぼす紛争や人の移動への影響」

国際移住機関 (IOM) は2022年9月29日、アフリカの脆弱かつ紛争の影響を受けている地域における、人の移動と気候変動、自然災害リスクとの関わりについての理解を促進するため、第8回アフリカ開発会議 (TICAD8)の 公式サイドイベントを開催した。

「アフリカにおいて気候変動がおよぼす紛争や人の移動への影響~人道と開発と平和の連携が果たす役割~ 」と題されたこのイベントでは、政府関係者や国際機関関係者らを招き、気候変動と人の移動の関わりについて「人道と開発と平和の連携」 のアプローチの視点から議論が交わされた。

このイベントにはエイミー・ポープIOM副事務局長をはじめ、アフリカ連合からのハイレベルスピーカー、カメルーン、エジプト、そして国際協力機構 (JICA) の代表らが参加した。人の移動や気候変動、災害リスク、脆弱性、紛争をめぐるアフリカ各国の取り組みや好事例について議論した。また、気候変動の影響を受けやすく、脆弱かつ紛争により被害を受けている国々への「人道と開発と平和の連携」のアプローチからのアフリカへの日本の支援についても意見が交わされた。

エイミー・ポープIOM副事務局長は開会挨拶で、「TICAD8チュニス宣言ではアフリカにおける気候変動と脆弱性、そして平和の関連性が明確に認識されていますが、IOMはアフリカ諸国が平和と安定を促進するために、気候変動に関連した脆弱性に対応する行動を始めていることに敬意を表します。」と発言。「IOMもこうした課題を解決するために、『人道と開発と平和の連携』のアプローチを用いたいくつものプロジェクトをアフリカで実施しています。そして日本は、IOMの活動を支える重要なパートナーです。IOMはアフリカの平和と安定に影響を与えるような、環境問題や気候変動に関する課題へのアフリカ諸国の取り組みを支援する準備ができています。」と述べた。

TICAD 8は2022年8月27日から28日までチュニジアで開かれ、チュニス宣言の採択をもって閉会した。気候変動はチュニス宣言の3本柱の全てにおいて言及されている。

アフリカ連合委員会の持続可能な環境とブルー・エコノミー委員会委員長のハーセン・ニヤンベ・ニャンベ氏は「TICADの共催者として、アフリカ連合はIOMによるTICAD 8公式サイドイベントの開催を歓迎します。気候変動への対応とアフリカの平和及び安定は、アフリカ連合の長期的な開発ビジョン『2063年アジェンダ』」にも含まれています。」と話した。

世界銀行の2021年のレポート「大きなうねり :気候変動による国内移住」によると、気候変動と開発に関する具体的な行動を起こさなければ、2050年には2億1,600万人もの人々が、徐々に進行する気候変動の影響により国内移住を余儀なくされるだろうとの試算がある。このうち、北アフリカは1,930万人 (当該地域の推計人口の9%) 、サハラ以南のアフリカは8,570万人 (当該地域の推計人口の4.2%) を占めている。