ニュース
Local

モザンビーク 日本政府の拠出金で地域警察活動と国境管理警備体制を強化

【マプト発】モザンビーク北部のカーボデルガード州では、過去8年間に亘り、広範囲に渡る避難や情勢不安を引き起こす、非国家武装グループ(NSAG)の暴力の影響に地域社会が悩まされている。特に国境地域の被害が深刻で、戦線は国境を越えた記録も確認され、さらなる影響の拡大が懸念される。

この危機に対応するため、国際移住機関(国連IOM)は日本政府の拠出金を受け、インフラへの投資や、コミュニティ主導の地域警察及び国境警備の強化を通じ、より確実な安全と早期警戒体制の整備を目指す。

今後実施する「地域警察活動及び国境警備体制強化計画」は、モザンビークの法執行機関と地域住民とのより強い関わり合いを促進することに焦点を当て、治安関連のインフラへの投資を強化すると同時に、警察と、担当する地域社会との間のコミュニケーションやフィードバックを円滑にする。現地の法執行機関と定期的に連携し、地域社会に根ざした組織である「地域安全評議会」を設立する。また、コミュニティとの積極的な関わり方について、法執行官を訓練する。また、警察署5カ所の修復と、13カ所の新設、国境警備所1カ所の建設を通じ、地域の安定させ、治安上の懸念への政府の対応能力を高める。

署名式において、濱田圭司在モザンビーク共和国日本国大使は次のように述べた。

「これまで日本政府は、カーボデルガード州の安全システムを強化するため、救命艇、監視船、国境管理機器、警察車両を提供してきました。本日国連IOMと共に署名した活動も、同州の再建と安全の向上を目指しています。」

署名式に臨む濱田圭司在モザンビーク共和国日本国大使 ©IOM 2025/Gerson Fanequico

2016年以来、国連IOMはモザンビーク政府と協力し、国境警備を強化し、地域安全協議会を通じたコミュニティと法執行機関の関係改善に努めている。このアプローチは、信頼と協力の増幅により安全保障の成果を向上させ、安全上の懸念や脅威が認識された場合に早期に警告できる機能として、コミュニティと法執行機関との間の情報交換を密にする。2020年から今日までに、国連IOMはモザンビーク北部で250の地域安全協議会を設立してきた。日本の支援により、さらに100の地域安全協議会を設立する他、既存施設250カ所のキャパシティビルディングを続け、3,000人以上の地域住民が恩恵を受けることになる。

コミュニティでリーダーを務めるフェルナンド・マリオ氏は語る。

「かつては、警察が怖かったです。コミュニケーションもありませんでした。しかし、地域安全協議会がはじまってから、彼らと話すようになりました。今ではお互いを理解し、信頼し、すべてが変わりました。」

日本政府と国連IOMによる書簡の署名 ©IOM 2025/Gerson Fanequico

モザンビーク北部が複雑な安全上の課題に直面し続ける中、国境管理とコミュニティーの関与、警備の強化は依然として喫緊の課題である。国連IOMの正規の移住ルートを確立し、拡大、強化するという目的に沿い、私たちはモザンビーク政府の国境管理の能力強化を後押しする。

モザンビークの法執行能力や地域社会の関与を強化することで、この活動は安全な国境を越えた移動を促進し、安全保障上の脅威を緩和し、同国の国際組織犯罪への陥りやすさを軽減する。また、省庁間の連携を強化し、信頼を築き、カーボデルガード州の長期的な平和と安定を支えていく。

ローラ・トム=ベンデ国連IOMモザンビーク代表 ©IOM 2025/Gerson Fanequico