インドネシア・アチェ 2008年3月 「平和構築人材育成パイロット事業」実務研修報告 寺西悦子

アチェ平和構築の現場から

「平和構築人材育成パイロット事業」研修員からの報告

IOMは日本政府による「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」に協力し、2007年9月からの国内研修への講師派遣、及び11月からの海外事務所でのOJTに関し4名の研修員の受け入れをインドネシアとスリランカで行いました。

そのうち、インドネシア・アチェのIOM事務所での研修を2008年3月に終えて帰国した研修生、寺西悦子さんからのレポートを紹介します。

 

2008年3月

平和構築分野の人材育成のための
パイロット事業 研修員 寺西 悦子


平和構築に携わる人材を育成することを目的に、昨年度外務省が立ち上げた「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」の研修員として、2007年12月よりIOMアチェ事務所に約3ヶ月間、国連ボランティア(UNV)として派遣されていました。

そこでは、IOMアチェ事務所のDDR部局において、紛争被害地における若年層失業者を対象とした紛争後社会復帰プログラムに従事していました。これは2007年11月に日本政府の支援により開始したばかりのプログラムです。

 

この事業は、アチェにおける治安の安定、平和の定着をめざしており、特に紛争被害地域のなかでも高い若年層失業率を示している地域の経済再活性化に焦点をあてています。人々やその家族が持続的な生計をたてていくことができるよう、雇用・訓練・収入創出事業を提供することを目的とするプログラムです。

 
私が携わった具体的な仕事内容は、IOMが世界各地の紛争後に行っている平和構築支援プログラムの、情報・カウンセリング・紹介サービス(ICRS)の現地事務所の立ち上げでした。アチェ州の5ヶ所にフィールド事務所が設置され、その立ち上げは、事務所の壁のペンキ塗りから、トイレ工事、オフィス機器の調達など、フィールド事務所が、事務所としての機能を果たすように、環境を整える必要がありました。それと平行して、フィールド事務所を拠点として、知事や警察、軍隊などの地方当局との会合を行ったり、プログラムへの理解を深めるために、地区レベルで説明会を開催したり、基礎調査の実施による村々の紛争被害状況把握に向けて、NGOや地域社会組織(CBOs)などの地域の協力団体を見つけ出すためにプロジェクトチームと協力して働きました。

これらのフィールド事務所は、アチェの州都であるバンダ・アチェから車で10時間以上も離れている地域、高山地帯や、海岸地域に位置しています。このように、IOMは本当に支援が必要な僻地まで入り込んで、プロジェクトを展開しています。ICRSのプログラムを草の根で実施するには、地元のNGO及びCBOの協力は必要不可欠です。また、実際に紛争を経験し、地域のことをよく理解している、地元出身のIOMフィールドスタッフの協力も欠かせません。こうして、チームがアチェの奥地で汗をかきながら、一丸となって、アチェの平和という共通の目標に向けて、プログラムが動き出しています。

 

2005年に和平合意が締結され、平和への道を歩んでいるアチェではありますが、持続可能な平和のためには更なる経済的・社会的発展が必要な状況にあり、紛争被害者への支援は、今後の平和の定着の為には、欠かせないものとなることでしょう。