ミャンマー 「平和構築人材育成パイロット事業」実務研修報告 2009年2月 片山久美子

日本政府「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」への協力

 ミャンマ- サイクロン被災地から

IOMは昨年に引き続き、日本政府による「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」に協力し、海外実務研修として、ミャンマー事務所で1名の研修員を2009年10月から受け入れました。

2009年3月に約半年の研修を終えて帰国し、プログラムを修了した片山久美子さんが現地滞在中に執筆したレポートを紹介します。

2009年2月

平和構築分野の人材育成のための
パイロット事業 研修員 片山 久美子


こんにちは。初めまして、私は「外務省平和構築人材育成パイロットプロジェクト」の第2期生として、昨年10月からIOMミャンマーに国連ボランティア(UNV)として派遣されている片山久美子と申します。

 

IOMミャンマーは現在去年5月に起きたサイクロン・ナルギスの復興支援事業を多数行っており、その中に日本政府が緊急支援として300万ドルを拠出しているサイクロン被災民のための住居復旧計画があります。

日本政府援助の住居復旧計画はIOMのフィールドオフィスがあるBogale、Pyapon、 Mawlamyiengyunの3つの地域でサイクロンによって被害を受けた貧しい人たちを対象に行っています。活動内容は主に大工さんを雇っての住居再建ですが、建築資材の配布や、裨益者の選択補助を行ったり、当該コミュニティでのプロジェクト管理に責任を持つコミュニティ建設委員会の支援、そして家屋の建設サポートをする大工さんへの耐災害建築教育、なども含まれています。

 
IOMが再建している住居は大別して3種類あります。仕事も貯金もなく家が全壊した人々を対象にしたプレミアムパッケージ、ある程度の貯蓄があったり、生活手段があって家が半壊した人々を対象にしたフレーミングパッケージ、そして、先述の2つのカテゴリー対象者より自主復興の可能性がある人々を対象にした建築資材の配布のみのマテリアルパッケージです。

そして、これらの各カテゴリーに誰が該当し、誰に支援の手を差し伸べるべきか、という選別を行うのがコミュニティ建設委員会です。これはすべての村人へ公平性と透明性を持って臨まねばならないプロセスであり、非常に難しい作業です。どの村人も納得のいく選択でなければならないのです。委員会が他に行っている活動としては、毎週、もしくは毎日会議を開き、再建進捗状況や建築資材の配布状況の把握、村人からの相談など多岐に渡ります。委員会のメンバーはコミュニティ内の選挙で選ばれた人たちで、村長や地域の有力者、教師などです。

そしてこのコミュニティ建設委員会の管理下にあり、家屋の建設を行うのが大工さんです。しかし、ミャンマーの大部分の大工さんは災害に強い建築というものを知りません。日本は地震大国ですから、私たちは家の基盤をコンクリートで固めたり、柱を金具で固定したりするのは当たり前のこととして知っていますが、こちらミャンマーではそんな知識を持っている大工さんはもちろん、村人もほとんどいませんでした。ですので、次の災害にも耐えうる家屋の建設ということで、それを担う大工さんへの教育が必要になってくるのです。建てたはいいが、次の災害でまた壊れてしまったら支援の意味がなくなってしまいます。こういった流れで日本政府支援のサイクロン被災民のための住居復旧計画は進んでいます。

先日、私もプロジェクトサイトの視察に在ミャンマー大使館職員の方とIOMスタッフとともに行ってきました。被災地は依然まだまだ復興段階にあり、倒壊した家屋やなぎ倒された木々、仮設住宅で生活している人々や泥水で炊事洗濯をしている人々が多々見受けられ、被災地支援に慣れていると思っていた私でさえも驚愕の悲惨さでした。今後も継続した支援の必要性、特に、村人へのインタビューによると衛生状況の改善、浄水の確保が早急に求められているようでした。国際社会のサイクロン復興に関するミャンマーへの関心が徐々に減りつつあり、かつ世界経済危機の影響で追加支援が困難な状況ではありますが、サイクロン被災民の方々は、現在もまだ復興の目処がたたない困難な生活を強いられているということを心に留め、今後もIOMとして支援を強化していきたいと思っています。