ルワンダ事務所インターン体験記 2012年10月
IOMルワンダ事務所インターン 西村響子 |
はじめに
大学院入学以前から抱いていた、「開発の現場では何が起こっているのか」という疑問に対して、将来の進路の選択肢の一つである国際機関の立場からヒントを得たいと思っていました。そのため私の関心ある業務を取り扱っていると同時に、プロジェクトを実施する現場により近いところで働くことができる、IOMを希望しました。また大学院での研究地域でもあり、現在も解決すべき多くの課題を抱えるアフリカでのインターンを選びました。 |
派遣プロジェクトの取り組み
インターンシップ期間中、様々な業務に関わらせて頂きましたが、私は主に帰還民の社会復帰(reintegration Unit)の案件に携わりました。
現在ルワンダはアフリカ諸国の中でも特に著しい経済成長を遂げている一方で、1990年代中盤の危機後に帰国した人々の社会復帰は国が抱える課題の一つです。1994年から2010年の間に約350万人の難民・国内避難民が継続的に帰還し、再定住を果たしました。
人々の帰還事業を成功させためには、帰還そのものに対する支援だけでなく、帰還後にできる限り円滑に定住し新たな生活を始めることができるように、経済的な自立に向けた支援を行うことが必要です。そこでIOMルワンダ事務所では、ルワンダ政府とともに2010年から帰還民の社会復帰を促進するプログラム (Socio-economic Reintegration of Returnees and Vulnerable Groups) を行っています。私が派遣された2012年現在、プロジェクトは3期目を迎えており、手に職をつけるための職業訓練、家畜の配布、また居住施設の改善などを軸としてプロジェクトを展開しています。
また、このプロジェクトのドナーは日本です。そのため、IOMの仕事内容を学ぶというだけでなく、遠く離れたルワンダで日本の拠出金によって、多くの人の生活が向上していることを知り得たことは、日本人として貴重な機会でした。人々が劣悪な生活状況から脱却する一歩を日本が支えていることは、自助努力を促す日本の援助の姿勢を示しているのではないかと思います。
インターンシップの内容
まず私の仕事は、職業訓練に関連した業務に携わりました。インターン前半は、講師の情報を収集・プロファイル化するなどの、アドミの仕事をすると同時に、8月に予定されていた講師に向けての研修会(Training for Trainers)の計画や調整を支援しました。フィールドから送られてくる研修会の出席者などを始めとする情報は、日々変化すると同時に時として遅れがちなことが多いです。そのような時は、フィールドスタッフと直接連絡をとり、リストの作成を促したり、情報の正誤性を確認するなどのサポート行いました。各地で職業訓練を行う講師の多くが英語での会話が難しく、現地語が話せない私は、現地語が話せるスタッフに手伝ってもらったり、出来る仕事を見つけて取り組んでいました。 |
そのほかの仕事
インターン期間中、上記のプロジェクトに関して事務所内でのデスクワークのみならず数度の現場に行くことができたこと、また難民キャンプへの同行や人身売買のプロジェクトなど多様な業務に携わる機会に恵まれました。オフィスが小さいということ、また私自身がインターンを始める際に、上司のみならず事務所長や同僚に現場でのフィールドワークを強く希望していたことが大きいと思います。一つのプロジェクトからは見えないような、国が抱える課題を垣間見ることができたというだけでなく、IOMが取り組むプロジェクトを多面的に知り得たという点で、貴重な経験となりました。 |
感想と今後の展望
このインターンシップは、これまで論文や講義などのアカデミックな視点から見てきたアフリカの開発問題や国際機関に対して、その枠を超えて現実のものとする機会となりました。首都を中心に発展を遂げつつある反面、地方の人々の生活は未だに貧しく、経済格差が拡大していることに気付かずにはいられませんでした。この経験を通し、開発問題に関して学問的な理解だけに留まらず、より深い理解を伴うスキルとできたことは大変幸運だったと思います。 |