フィリピン 巨大台風から半年 被災地での復興支援 2014年5月

IOMのフィリピン台風被害への対応は、台風直撃の翌日の2013年11月9日に始まりました。

巨大台風により6,000人以上の方が亡くなり、400万人以上が家を失いました。インフラや通信にも多大な被害がもたらされ、IOMは他の人道支援機関、そしてフィリピン政府との連携のもと、支援を続けています。

IOMは特に被害の大きかったタクロバン(Tacloban)、ギーワン(Guiuan)、ロハス(Roxas)、オルモック(Ormoc)にサブオフィスを開設し、さらにセブ島に緊急対応のロジスティックハブを開設しました。台風被害対応のために、とくに被災地出身のフィリピン人職員を増やしながら、この半年支援を続けてきました。


IOMは2014年4月までに、キャンプの運営・管理を通じて46,000人以上を支援しました。緊急シェルターのキットは6万セット以上を配布し、現在はより耐久性の高い住居のためのキット配布を行っています。保健分野では、診察・予防接種など37,000人以上を支援しました。同時に災害後に危険の高まる人身取引の啓発活動や、性暴力の対策を行っています。また、電話やSMS、ラジオなどを通じて被災者へ情報を届けると同時に被災者からの声を支援団体等に届けるコミュニケーション支援も行っています。

 Philippine Response (フィリピン台風被害への対応に関するIOM本部サイト)


今回の日本人職員レポートでは、被害の大きかった西ビサヤ地域・パナイ(Panay)島のロハス(Roxas)事務所より、IOMの現地での支援活動を報告します。
IOMフィリピン事務所 Health Reporting Officer
小檜山なつ子

仮設住宅の運営・維持・監視

パナイ島では、台風ハイエンにより海岸地区が特に大きな被害を受けました。イロイロ州エスタンシア(Estancia)では、石油を積んだタンカーが強風にあおられて横転し、石油が海岸沿いに流出するという惨事が起きました。避難を余儀なくされた海岸沿いの漁村の住人や、その他の地域で被災し住居を失った人々は、bunkhouseと呼ばれる仮設住宅に住んでいます。

仮設住宅は、平屋建てのいわゆる『長屋』のような造りで、一棟に約12世帯が住めるようになっており、耐用期間は3-5年と想定されています。建設はフィリピン政府によるものですが、IOMはその運営・維持と監視(モニタリング)を担当しています。

ちなみに、IOMはキャンプ運営管理(Camp Coordination and Camp Management:CCCM)のエキスパートとして国際的に知られています。災害や紛争などにより、テントやキャンプなど仮住まいでの生活を余儀なくされた避難民の生活の安全と健康が守られるよう、住民コミュニティや自治体と連携して活動しています。
写真のイロイロ州の仮設住宅では、IOMは住民が無料で利用できるヘルスポスト(Health Post)を建設中です(5月末に完成予定)。IOMの医療スタッフが定期的に訪れ、外来診療をする予定になっています。

住民参加型イベント:サイコソーシャル(心理社会)サポート

台風ハイエンのような大規模な自然災害は、人々に強い精神的ストレスを与えます。強烈なショック体験が心のダメージとなり、時間が経ってからも不安や緊張を感じたり、怖い体験を思い出したり、眠れなかったりといった症状が続くことがあります。また、それまでの暮らしとは違う仮設住宅での生活が続くと、ストレスにつながりやすくなります。

IOMの被災地支援の活動は、このようなストレスやメンタルヘルスの問題に対応するサポートにも力を入れています。仮設住宅住民向けのサイコソーシャル(心理社会)サポートとして、イロイロ州の2カ所の仮設住宅で「Balik Kalipay sa IOM (Bring Back Happiness with IOM)」と題した参加型イベントを催しました。地元コメディアンによるコント、賞品つきゲーム、プロのバンドによるライブ演奏など盛り沢山の内容で、仮設住民のほぼ全員が見物に集まり、観客席は満員御礼。住民の希望者によるパフォーマンスでは、子供たちがプロ顔負けの本格的なダンスや歌を披露し、会場は大いに盛り上がりました。
音楽とダンスと笑いに満ちた一日のイベントを通して、避難住民の人々からは「とても楽しかった」「住民同士の交友を深めることができた」「是非またこうした催しをしてほしい」といった感想がたくさん寄せられました。

IOMのサイコソーシャル(心理社会)サポート

大規模災害後の緊急支援におけるサイコソーシャル(心理社会)サポートの重要性は、認識が広まってきており、多くの援助団体が様々なサポート活動を行なっています。IOMはメンタルヘルス・心理社会サポート(Mental Health and Psychosocial Support::MHPSS)の機関間常任委員会(Inter-Agency Standing Committee)のメンバーとして、緊急支援プログラムにこうしたサポートを組み込み、世界各地で様々な活動を展開しています。