ルワンダ インターン体験 事務所代表補佐 2014年11月

IOMルワンダ事務所でのインターン経験

今井ひなた (インターン期間:2014年5月 - 9月)

はじめに

私は2012年よりNGOの選挙監視員としてアジア諸国を中心としたミッションに携わっていましたが、より自身の専門性を高め、また目の前で起きている事象について概念から理解し、解決策を導きだしたいと考え、現在は大学院で平和構築、紛争予防について学んでいます。

以前ルワンダを訪問した際は、研究の為の情報収集が主な目的であり、実践的な面からルワンダという国に関わることができずにいたので、今回、兼ねてから志望していたルワンダのIOMに大学側とIOMの協定に則りインターンとして派遣されたことは非常に大きな喜びでした。

IOMルワンダでは主に事務所代表の補佐として分野横断的にプロジェクトに関わっていました。

このレポートではその具体的な業務内容について報告したいと思います。

 

IOMルワンダについて

IOMルワンダはナイロビにある東アフリカ地域事務所 (Regional Office for East and Horn of Africa)の管轄下にあるカントリーオフィスと位置づけられており、部署は人事部、総務部、オペレーション、労働移住部に分かれています。

総勢30名程のスタッフは、各部のチーフを除いてほとんどが現地採用のルワンダ人ですが、一方、日本人のインターンや職員も積極的に採用をしています。

この一因として、日本政府が継続的に帰還民の再統合プロジェクトを支援していたことが挙げられます。

1994年の内戦の影響で難民、あるいは 国内避難民となり難民キャンプに住んでいたルワンダ国民が自国に帰還した後、自立して生計を立てられることを目的に必要設備や家畜などを支援していたこの再統合プロジェクトは IOMルワンダにおける中心的なプロジェクトのひとつでした。

またIOMルワンダ内最大の部署であるオペレーションではロジの提供、及び必要書類の作成などの後方支援を迅速に行えるIOMの強みを活かし、難民、あるいは難民認定を受けることなく隣国に逃げ、不法移住者として強制送還されたルワンダ国民の再定住、そして第三国定住を支援しています。

業務内容

1)国境管理

私がインターンとして派遣されていた期間、IOMルワンダではルワンダ政府の要請に基づいた国境管理支援のプロジェクトが立案段階に入っていました。

ルワンダは、タンザニア、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ブルンジと隣接しており、出入国管理局が国境沿いに合計で9カ所存在しています。

しかしすべての国境管理局にICT技術が導入されているわけではないため、データ化を手作業で行っている局もあれば、電子化が進んでいる局もあるなど、情報管
理の方法が統一していない為、安全保障、治安対策、経済の活性化の観点から、システムの改善が求められていました。

特に今年から東アフリカ共同体 (East African Community、以下EAC)同盟国の国民が身分証の提示のみの手続きで、EAC加盟国間を行き来することが出来るようになった為、国境を超えた移動が急増しており、出入国管理の精密化、及び職員への技術訓練の提供は急務でした。

際機関で働く上で企画書の作成能力は欠かせない為、事務所代表に企画書立案に携わりたいと伝えたところ、担当を任されました。
国境管理を担当しているAfrican Capacity Building Centreの専門スタッフに随行しフィールド調査に出向き、ニーズを特定しながら同時進行で蓄積された膨大なIOMの内部書類にアクセスし、既存の枠組みを使用しながらもルワンダの状況に沿ったプロジェクトを立案していく、という一連の流れを学べたことは非常に貴重な経験でした。


尚、写真はプロジェクトの視察に訪れた、ブルンジ、ルワンダ間の国境管理局の内部と聞き込みの様子です。

2)労働移住に関するトレーニング (Labour Migration Training)

インターン中は何度か泊りがけのトレーニングや出張がありましたが、その中でもIOMルワンダが注力していた労働移住者の管理(Labour Migration Management)に関するトレーニングについて触れたいと思います。

3日間にわたり開催されたトレーニングでは、今後労働移住者が増えるであろうルワンダにおいて、市場のスキルギャップを効率的に埋めながら、移住者に対する保護を確保する政策の立案、構築をどのように行っていくべきかが重点的に討議されました。

政府官僚やプライベートセクターの代表者約20名が出席し、私は議事録作成、及びファシリテーションの補佐、そしてトレーニング終了後の審査レポートの作成を担当しました。移住者の人権が確保されるよう、受け入れ国の政府関係者に向けトレーニングや政策提言を行っていく過程を知ることは、今後その分野に関わっていくことを志望する自身にとって非常に有意義な経験でした。
同時にグローバルな基準をいかにルワンダの文脈にあてはめて考えなければならないか、具体的にはLow-Skilled Labourの保護を一義的な目的とするIOMと主にHigh-Skilled labourの移住促進に関心を持つ政府との間でどのように折り合いをつけながら提言を行っていくべきなのかを学ぶ機会でもありました。

また、現在はコモンウェルス加盟国ですが、ルワンダは旧ベルギー植民地なので、特に政府内の中層部は英語よりもフランス語が主要言語です。

講師は参加者のニーズに応え、またコミュニケーションをより多く取る機会を設けるべく、時折フランス語を交えながら講義を行っており、やはり国際機関で働くということは、英語以外の言語の習得も欠かせないのだと再認識しました。
3)虐殺生存者への補償について

インターン中、事務所代表が紛争後社会における民主化の促進について研究している私に同席する機会を設けてくださったのが、虐殺生存者への補償についての会議です。

ジュネーブのIOM本部から専門員がルワンダに派遣され、ルワンダ政府と虐殺生存者の間を取り持ちながら、何を補償とするのか、そして補償の対象者をどのように絞っていくのかを中心に調査しており、私が出席したのはIOMスタッフに向けた報告会議でした。

公式な報告書は今後発表されるとのことでしたが、補償とひとことでいっても、金銭的な援助以上に生存者が求めているのは精神病院へのアクセスの向上や雇用機会の拡大など、中長期的な視点に基づいたものであることが報告されました。

このイシューは今後自身の研究でも掘り下げていく予定です。

インターン業務についての感想

感想としては、積極的に自身が関心があること、やりたいことを周りのスタッフに伝えていくこと、そして事前にIOMがどのように他の国際機関と連携しているのかを知ることの必要性を感じました。
刻々と情勢は常に変化していくので、自身が想定しているスケジュール通りに物事が進むわけではなく、スタッフは多くの業務を抱えており、また些細なことでも自分の解釈が間違っていると限られた時間のロスにつながることがあります。
基本的ではありますが、各スタッフとタイミングを計りながら、密にコミュニケーションを取ることの重要性を学んだインターンでした。

自身の反省としては、要望されている以上のことをもっと積極的にやるべきだったという点です。
プロジェクト立案の情報収集も、カウンターパートとメールでやり取りをするだけではなく、実際にもっとアポイントを取り付け、事務所により多く足を運べば、より詳細な情報や、また紙面上では気づく事ができなかったイシューを発見することができたのではと感じます。

最後に

国際機関でのインターンは私の大学院での目標の一つであり、また緊急人道支援から開発まで「国境を越えた人口の移動」にあてはまるイシューを取り扱うIOMは第一志望でした。

この様な機会を提供してくださった大学側、そして受け入れてくださったIOMの方々に心より感謝申し上げます。

また研究内容に関連したプロジェクトがあると関わらせてくださったルワンダ事務所代表、常に難民の第三国定住のロジスティックスの手配で激務にも関わらずプロジェクトに同行させてくださったオペレーションのスタッフ、そして企画書の書き方から日々の会計報告書まで多岐に渡り丁寧に教えてくださった労働移住部門の上司に、心より感謝申し上げます。

そして、私は選挙監視員というバックグランドなので、来年行われるブルンジの選挙には非常に関心があり、休日を利用してブルンジのIOMに訪問しました。

お忙しい中、対応してくださったIOMブルンジの事務所代表、そしてスタッフの方々にも改めてお礼申し上げます。