西アフリカにおけるエボラ出血熱対策支援プロジェクト 2015年12月

西アフリカにおけるエボラ出血熱対策支援プロジェクト 2015年12月

2015年12月8日
国際移住機関(IOM)ギニア事務所 プロジェクトマネージャー
小村陽平
首都コナクリの島 ©IOM 2015私は、西アフリカのギニア、マリ、コートジボワール、セネガルを対象国としたエボラ出血熱対策支援プロジェクトのプロジェクトマネージャーとしてギニアの首都コナクリにあるIOMギニア事務所にて業務に従事しています。

ギニアは大西洋に面し、ギニア・ビサウ、セネガル、コートジボワール、マリ、リベリア、シエラレオネと国境を接しています。ギニアは1958年にフランスから独立し、公用語はフランス語ですが、複数の現地語も話されている国です。内陸部は自然が非常に美しく、ギニア高地はアフリカで3番目に大きなニジェール川の源流となっています。季節は乾季と雨季に分かれており、年間降水量は約4,000mmと非常に雨量の多い国であり(日本の年間降水量は1,200mm)、雨季には毎日のように激しい雨が降ります。ギニアは、ボーキサイト、ダイアモンド、金という恵まれた主産業があるにもかかわらず、ガバナンス問題があるため経済状況は悪化しており、貧困層が増大している状況あります。
 ギニア内陸部の山 ©IOM 2015エボラ出血熱の大流行は、2013年12月にギニアで始まり、その後、主にギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国にて多数の死者と感染者をもたらしました。エボラ出血熱はギニアにおいて約3,800名の感染者と2,532名の死者をもたらし(2015年9月20日時点)、ギニア国の経済状況に更なる打撃を与えました。そのような中、各国、各国際機関、NGOはこれらの国におけるエボラ出血熱の感染拡大を防止するため、また、世界的な大流行につながることを防止するため資金援助や現地活動による支援を開始しました。

IOMも、日本やアメリカを中心としたドナーによる活動資金を通じてギニア、シエラレオネ、リベリアにおいてエボラ対策支援活動を開始し、IOMが得意とする人の移動に着目したエボラ流行防止活動を国境や主要幹線道路におけるエントリーチェックポイントにおいて実施しています。

私は地域プロジェクトマネージャーとして、ギニアを拠点に、ギニアにおけるプロジェクト活動の実施と他の3カ国の活動モニタリングを行っています。各国の活動コンポーネントは同じであり、各国政府のエボラ出血熱対策を支援することを目的に、(1)国境におけるヘルススクリーニングポイントの設置と運営、(2)コミュニティ監視体制の構築の活動を実施しています。
ヘルススクリーニングポイントの設置 ©IOM 2015 (右・左写真とも)ヘルススクリーニングポイントの設置と運営では、最近までエボラの感染例が見られた沿岸地域と首都コナクリにおける港や漁港を対象に、漁港メンバー、警察、憲兵隊などに研修を実施し、海路による国境通過者に対するヘルスチェック(体温検査や手洗い指導)方法の指導を行うとともに、必要機材(体温計、手洗い台、石鹸、塩素など)を供与して、ヘルススクリーニングポイントの設置と運営の活動を実施しています。

コミュニティ監視体制の構築の活動では、沿岸地域のコニュニティを対象地域とし、コミュニティヘルスワーカーと呼ばれるボランティアに対する研修を実施することにより、コニュニティにおけるエボラを含む伝染病監視体制の強化を実施しています。エボラの完全に封じ込めるためには、感染例の早期発見を行わなわなければ再度の感染拡大につながってしまうため、コミュニティ監視体制の構築はエボラゼロケースを目指すために非常に重要な活動となります。

ヘルスチェックポイントにおけるモニタリングと研修の様子 ©IOM 2015(右・左写真とも)2015年12月、ギニアでは最後の感染者が回復し、現在では42日間の観察期間を待っている状況にあり、観察期間が経過するとギニア政府から終息宣言が政府から出されることになります。隣国のリベリアでは9月に終息宣言をしたものの、11月に新規感染者が確認された状況にあり、ギニアにおいても引き続きヘルススクリーニングポイントの運営を継続するとともに、エボラ出血熱の早期発見と啓発活動を実施するためにコミュニティにおける監視体制の構築を行う必要があります。しかし、ギニア政府のエボラ対策予算は縮小しつつあるとともに、エボラ出血熱は既に終わったと楽観的な考え方を持っている人々も多いため、エボラが終息しつつある現段階においてエボラを含む感染症対策支援を地域コミュニティとともに実施することは容易ではありませんが、エボラの完全なる終焉を目指して活動を継続していく必要があります。