ソマリアでの帰還民支援の現場から 2016年12月

IOMが運営するソマリア南部の診療所では特に女性と子供の患者が多い Photo © IOM / Sanyu OsireIOMソマリア事務所
伊藤千顕
 
2014年12月以降、ケニアにある世界最大規模のダダーブ難民キャンプから、本格的にソマリア難民がソマリアへ帰還し始めてから約2年が経とうとしています。現在までに正式なルートで帰還した人だけを数えても、約3万3千人を超える人々がソマリアへ戻ってきています。一方で、ソマリアの多くの地域における治安状況や社会経済状況は大規模な帰還民の受け入れに適しているとはまだまだ言えません。

IOMは各国政府からの支援を受け、(国連難民高等弁務官事務所)やソマリア連邦政府などと協力し、ソマリア難民の安全な帰還と帰還先での生活再建のための様々な支援を行っています。具体的には、難民がソマリアへ安全に帰還できるよう、ケニア・ソマリア国境に帰還民支援センターを開設し帰還民の移動を支援しています。また、多くの帰還民の出身地であるソマリア南部を中心に、保健、水衛生、生計支援、住宅の建設などの事業を行っています。

ソマリアでは母子保健に関するニーズが特に多い Photo © IOM / Sanyu Osire事実上約20年間もの無政府状態であったソマリアは、2012年のソマリア連邦政府樹立以来、全体的な状況は改善されています。しかし、未だに約490万人が人道支援を必要としており、その内、人口の約1割にあたる約110万人もの人々が国内避難民としての生活を余儀なくされています。さらに、多くの難民が帰還する南部では、干ばつやコレラ・麻疹などの感染症も頻繁に流行している厳しい状況です。

このような困難な状況ではありますが、希望もあります。帰還した若者の中には、手に職がある人や高等教育を受けた人も多いため、将来の国作りの礎になる可能性があります。帰還民がまた難民や国内避難民になることが無いように、恒久的な解決(Durable Solutions)へ向け、ソマリアの人々とともに知恵を出し合いながら、ソマリアの未来へ貢献できるよう努力を重ねていきたいと思います。