日比JFCによる共同声明

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推定30万人ものJFC(新日系フィリピン人/Japanese Filipino Children)を代表として、この場に立つことを大変光栄に思います。また、皆様のご出席に心よりお礼申し上げます。

この会合は、JFC問題に光を当て、今後の活動において足がかりを得るものとなりました。私たちJFCの物語や経験について議論することができる場を提供してくださって、ありがたく思います。この会合によって、私たちJFCの厳しい状況について対話を始め、JFCに関する世論を形成するきっかけができました。これまでの長い間、JFCの状況については社会から十分な理解を得られていませんでした。今こそ私たちの声を大にして、人々に知らせる時が来ました。

JFC問題は20年以上もの間続いている問題であり、その解決策は未だ模索段階です。情報不足によって、人々の偏見と誤解が生まれています。そして偏見と誤解により、JFCが父親の文化を直接学ぶ権利、いわば生存権を行使する機会が奪われます。

多くのJFCは、異なる人種間のカップル、それも破綻したカップルから生まれています。

フィリピンでの雇用機会の乏しさによって、1980年代には何千ものフィリピン人女性が海外に出稼ぎに出ました。JFC世代の誕生は、フィリピン政府が現在もなお推進している労働力輸出政策の結果なのです。

日本とフィリピンの文化は、月と太陽のごとくまったく異なった部分があります。それは、多くの離婚や孤児を増やす原因となっています。多くのJFCは、母親の文化圏で成長し、もう一方の文化、すなわち父親の文化を知らずに育ちます。

JFCは、幼児期から与えられた不運にもかかわらず、夢と大志を持ってそれらを実現しようと励んでいます。JFCは新天地としての父親の国について話を聴き、日本のことを熱心に考えて成長してきました。かれらは日本の家族を探すことを願い、日本人の勤勉さによって成し遂げられた富国に貢献することを目指し、それ以上に、かれら自身について探求したいと思っています。

JFCは来日するにあたって様々な手段でここに来ました。例えば、JFCのなかには、戸籍謄本に名前が登録されている人で、移住する権利について教えられた人は、日本に来ることが出来ました。他方、悪徳組織によって搾取された不運な人もいます。日本人としてのアイデンティティについて探求することなく現状に満足し、フィリピンで自己実現することを願っている人もいます。

現代においては、あらゆる情報へのアクセスがたやすいにも関わらず、日本文化の「不思議さ」について直接体験することは何ものにも代えがたいものです。ただし、JFCのアイデンティティ形成にあたって、大きな障害となるのは国籍の問題です。

先ほども述べたように、このテーマについては、何十年もの間、議論が続けられてきました。

昨年2008年6月4日に最高裁判所によって初めて、国籍法改定の勝訴を獲得することができました。現在は、両親の婚姻関係に関わらず、子どもは父親の国籍を取得することが認められるようになりました。しかしながら、私たちの課題がすべて解決したわけではありません。まだ取り組むべき問題が山積みになっています。例えば、20歳以上のJFCは日本国籍を取得できないという条件が課されました。これは、20歳までにはどちらか一方の国籍を選択するかについてすでに決まっているであろう、という仮説の下でのみ決まったものです。何千もの歴史がある国を一晩で学ぶことは誰であってもできるはずはありません。私たちの母親は同じような経験をしています。日本に来ることを涙の道にしたくはありません。一世代の悲しみを次世代に継承してはならないと思います。

来日するという決断は私たちにとって容易いものではありませんでした。日本での高潔な生活を知らず、また日本語を話せず、読み書きもできない状況で来日した場合、かれらは周りから正しく理解されないということを経験します。さらには、父親との血縁関係によって自分の一部だと思っていた人種から排除される始末です。

排除されるということは、社会から切り離されることであり、人に不信感を抱かせ、最悪の場合、逸脱行為を引き起こします。新聞で報道されるようなJFCの多くは、暴力と不信の悪循環によってそのような結果に至ったのです。

メディアによって報道されるJFCのイメージとは逆に、まっとうな人生を過ごすJFCは多くいます。しかし、この一面はステレオタイプや差別によって描写されることは少ないのです。

この会合の前に行われたセッションで、あるJFCが語っていたことによると、職場では、人種が異なることによって能力が低くみられることがあるそうです。また、他のJFCは日本人の同僚よりも低い賃金で、不健康な勤務時間で働き、残念なことにきたない・きけん・きつい職場で働いている場合もあります。

私たちは、JFCの人権擁護を求め、日本とフィリピンの間の子どもであるJFC特有のニーズにこたえるための解決策を求めます。「一人の子どもを育てるには村全体が協力しなければならない」という諺があります。私たちは、JFCの人間としての最大限の潜在能力について人々が理解するためには、国全体の支援が必要だと考えます。

このように、JFCの問題や関心事について、日比両国の社会全体、報道関係者、そして政府関係者の取り組みを強く願っています。私たちが目標実現のための一歩を踏み出すためには、社会全体の後押しが不可欠です。そのためには、私たちの前に立ちふさがる山積みの課題を解決しなければなりません。この会議を契機に、私たちは、日比両国のJFCから成り立つ「連帯評議会」を開始させるべく委員会を設立しました。

私たちはたとえ否定されたとしても、日本を親の国としてみなし、かれらから学びたいと思っています。私たちなりに日本を大事に思い、この多忙な国の日々の需要にこたえるために役に立つことをしたいと思っています。

JFCとして、二つの文化に恵まれていることは、幸運なことだと思います。経験上、その文化を理解することで多くの祝福を受けてきました。様々な出来事にも係わらず、私達の中に不快な感情や妬みが起きることはありませんでした。この会合では、JFCの状況について皆様によりよく伝えることができたことを願っています。

私たちは、ジャパニーズ・フィリピノです。私たちは、超越したものを持っています。怒りと悲しみ、人種とアイデンティティにおいて、超越したものを持っているのです。
 

以上