フィリピン 台風被災地でのシェルター支援 2014年6月


2013年11月にフィリピンを直撃した巨大台風により、6,000人以上の方が亡くなり、400万人以上が家を失いました。インフラや通信にも多大な被害がもたらされ、IOMは他の人道支援機関、そしてフィリピン政府との連携のもと、支援を続けています。

IOMはキャンプの運営・管理や保健分野での支援、災害後に危険の高まる人身取引の啓発活動や性暴力の対策を行っています。また、電話やSMS、ラジオなどを通じて被災者へ情報を届けると同時に被災者からの声を支援団体等に届けるコミュニケーション支援も行っています。

詳細は以下もご覧ください。
 Philippine Response (フィリピン台風被害への対応に関するIOM本部サイト)
 フィリピン 巨大台風から半年 被災地での復興支援 2014年5月
 フィリピン 巨大台風被災地での復興支援プログラム 2014年4月

ここでは、被災者へのシェルター支援について、IOMフィリピン事務所よりHealth Reporting Officer 小檜山なつ子が報告します。

 

haiayan01台風ハイヤン(フィリピン国内での名称はヨランダ)の被害のうちでも、最も深刻なもののひとつが、人間の生活に欠かせない衣食住のうちの「住」、すなわち家(住まい)です。台風ハイヤンでは、およそ400万人が家を失ったと推定されています。

雨季には毎日のように雨が降り、乾季には厳しい暑さと日差しが容赦なく照りつけるフィリピン。人々が安全かつ快適に暮らせる住まい(シェルター)の確保が急務です。

IOMフィリピン支援においても、シェルターは主要なプログラムのひとつで、一番多くの予算が割り当てられています。私の駐在するパナイ(Panay)島・ロハス(Roxas)事務所の管轄地域でも、各国からの資金援助によるシェルター支援を続けています。日本政府も主要なドナー(資金援助国)のひとつです。

災害時の緊急シェルター支援には、避難民用テントやBunkhouse(仮設住宅)の設置などもありますが、今回は一般の家の建て直し支援についてご紹介します。

皆さんは、「家」というとどんな建物を思い浮かべるでしょうか。フィリピンでは、農村部や低所得層の人の家は竹とココナッツなどの木材を組んだ簡素な造りのものが多く(写真)、通常、地域住民が自分達で建てています。今回台風の被害を受けた地域では、こうした家はすさまじい風圧によりほぼすべて半壊・全壊しました。また、海岸沿いの地域では、強風に加えて高波が襲い、多くの家が土台ごと押し流されてしまいました。

フィリピン シェルター支援キットとNFI(Non-Food Items) :シャベル、毛布、ビニールシート、床用マット、釘、ハンマーなど ©IOM2014また、かろうじて全壊を免れた家でも、貧しい世帯では建て直すための道具や材料を買うお金がないため、廃材などを拾ってきて急ごしらえの屋根を作り、なんとか雨風を防いで寝るという状況が、被災後数ヶ月経った今でもまだあります。

家が被害を受けた人を対象に、IOMではシェルター再建用のキットを配っています。物資は一世帯用がセットになっており、ビニールシート、CGIシート(屋根に使うトタン素材を強化したもの)、材木、シャベル、釘、ハンマー、ロープなどが入っています。そのほか、日常生活に最低限必要な、NFI(Non-Food Items)と呼ばれる食料以外の物資(床用マットや毛布など)のセットも配られます。

これらの物資は、誰彼かまわず配られるわけではありません。限られた予算を使って、最も必要としている人々に支援を届けるため、配布に先立って「評価・認定」というステップが重要になります。

「評価・認定」とは、キットを誰に配るかを決めるため、あらかじめ対象の町・村の役場を訪問し、被災した所帯の名簿をもとに、IOMスタッフが一軒一軒直接訪ねてまわることです。家の損壊状態を確かめ、住人に収入・家族の被災状況などの聞き取り調査をし、どの世帯に物資を配るかを決め、リストを作ります。一般的に、収入の少ない世帯、女性一人が稼ぎ手の世帯、小さな子供や病気の人、高齢者がいる世帯などが優先的にリストに入ります。そして後日、あらためて配給をします。リストに載っている人が間違いなく受け取れるよう氏名を確認しながら、物資を手渡していきます。

フィリピン シェルター支援キットとNFI(Non-Food Items) 配布の様子 © IOM 2014フィリピン シェルター支援キットとNFI(Non-Food Items) 配布の様子 © IOM 2014

 

 

フィリピン IOMの配布したビニールシートを使用して崩れた屋根をカバーします © IOM 2014シェルター修理用キットを受け取る被災世帯は、同時にIOMの専門家によるDisaster Risk Reduction(DRR)トレーニングを受けます。DRRトレーニングとは、より台風に強い建築方法を教え、その方法で家を建て直すよう指導することで、将来、災害にあった際に家屋が崩壊するリスクを減らそうというものです。台風に対する耐性を強化した建築方法を学んだ住民は、自分の手で家を建て直していきます。このようにして、IOMはコミュニティの自主的・自立的な復興をサポートしています。

フィリピン シェルター修復用キットの配布 © IOM 2014. Photo by Blue Motus
フィリピン DRRトレーニングの様子 © IOM 2014. Photo by Blue Motus

また、土台から完全に崩れてしまった家を対象に、「フルシェルター支援」という活動も行なっています。これは、IOMが設計から建材の調達、建設までを行なうものです。

フィリピン DRRトレーニングの様子 © IOM 2014. Photo by Blue Motusフィリピン フルシェルター支援 建築中の様子 © IOM 2014. Photo by Blue Motus

フィリピン Olutayan(離島)でのフルシェルター支援 © IOM 2014

フィリピン フルシェルター支援で完成した家。浸水に備えた高床式の構造です © IOM 2014

いまフィリピンは乾季(12月 - 5月)を過ぎて、雨季(6月 - 11月)に入ろうとしています。すべての被災者が安全な住まいを取り戻せるよう、IOMのシェルター支援は今日も続いています。