シリア 越冬用の支援物資を受け取るシリアの人々 ©IOM 2017
シリアでの紛争が継続していることを受け、IOMは、シリア国内に留まる人々や周辺国に逃れた難民の命をつなぐ支援を継続するために、2億3,400万ドルの援助を国際社会に求めるアピールを発表した。IOMは2017年を通じ、長きに亘って危機に瀕しているシリアの人々のニーズに応えて、保護、救命、早期復興といった活動を拡大する。
シリア国内の状況は悪化を続けている。約630万人の人々が国内避難民となっており、シェルター、食糧、保健サービスなどの支援を必要としている。2017年には、1,350万人のシリア人女性、男性、子どもが、人道支援を必要とするとみられている。
危機の発生以来、480万人ものシリアの人々が、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトといった隣国への避難を余儀なくされており、難民キャンプや非公式な避難場所、受入コミュニティの中で生活している。こうした難民は、雇用や保健サービス、子どもの教育機会のアクセスなど、あまたの困難を抱えている。
「何年にも亘る紛争とそれに伴う避難生活によって、シリアの人々はトラウマになるような悲惨で命に関わる被害を受けています。緊急の資金が、数百万人に及ぶシリアの国内避難民や、避難民を受け入れているシリア国内のコミュニティ、あるいは隣国で難民となったシリア人を受け入れているコミュニティのニーズに応えるために必要です。我々は国際社会に対し、ますます大きくなる保護や人道援助、強靭性を高めるニーズに、遅滞なく応える活動をするための援助を求めています。シリアの人々はこれまでの紛争を通じて、信じがたい強靭性を見せてきました。国際社会は彼らが求めているときにサポートすべきです。」とスウィング事務局長は言う。
IOMは紛争の初め以来、シリア内で活発に支援活動を展開している。IOMは2014年には、「全シリア」アプローチを通じて、ダマスカスから、または隣国から国境を越えて直接、国内避難民や困難な状況にある避難民のニーズに応えるために、命をつなぐ支援を迅速に実施してきた。シリア国内で活動するだけでなく、地域の約900万人を支援して、シリア難民のニーズにもさまざまな分野で対応している。
このIOMシリア・アピールに対して提供された資金は、シェルター支援、主要な生活物資配布、水衛生支援、ヘルスケア、心のケアなどの緊急支援活動のために使用される。加えて、ビジネストレーニングや資金提供だけでなく、家族統合やコミュニティ安定化、教育、生計回復、回復力の構築など、早期復興までを目的とした活動にも充当される。
IOMのシリア危機対応(2016年まとめ)(英文)